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糖質制限食、何が問題なの? 「勧められない」と日本糖尿病学会 2013.4.13 SankeiBiz
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提唱者の医師「根拠ない」と反発
日本糖尿病学会が先月、ご飯やパンなど炭水化物を控えて糖質を制限する「糖質制限食」
について、「勧められない」とする提言を出した。糖尿病患者だけでなくダイエットした
い人にも人気のこの食事療法、何が問題なのか。(平沢裕子)
脂質は悪者?
同学会が糖質制限食を勧められないとしたのは、糖質制限によってタンパク質と脂質の
摂取量が増えることを問題としたためだ。提言では、タンパク質の取り過ぎが腎機能を
悪化させたり、脂質の取り過ぎが動脈硬化を促進させて心筋梗塞や脳卒中のリスクを高め
たりする恐れがあると指摘している。
これに対し、糖質制限食の提唱者である高雄病院(京都市右京区)の江部康二理事長は
「脂質は長年悪者にされてきたが、最近は食事の脂質を減らした人とそうでない人で最終
的な死亡率は変わらないという研究が、海外の一流医学誌に次々と発表されている。
タンパク質の取り過ぎは腎障害のある患者には悪影響があり、私も糖質制限食は勧めてい
ないが、腎障害がない場合に腎機能を悪化させるというエビデンス(科学的根拠)はない」
と反論する。
確かに提言でも腎障害がない場合、タンパク質の過剰摂取が腎症発症のリスクとなる
「明確なエビデンスはない」としており、腎機能悪化の科学的根拠があるわけではない。
糖質50%未満も許容
東京都内在住の男性会社員(45)は7年前、糖質制限ダイエットをした。開始前は身
長175センチ、体重75キロ、BMI(体格指数=体重「キロ」を身長「メートル」の
2乗で割った数値)は24・5で標準体重範囲内だったが、学生時代から約20キロ増え
た体重が気になっていたという。
普段の食事から主食を抜き、おかずはそれまでと同じ量を食べたところ、4日目ぐらい
から体重が減り始め、8カ月後には62キロと13キロの減量に成功した。男性は「体重
がどんどん減っていくのが楽しかった」と振り返るが、「やせたことでダイエットする
意味がなくなった」とダイエットはやめ、現在はダイエット前と同じ体重に戻っ
ている。
この男性のように糖質制限食で減量効果を実感しても、ご飯はもちろん、ラーメン、パ
スタ、菓子が食べられない糖質制限食を1年以上続けるのは難しそうだ。提言では脱落者
が多く、継続しないことも問題とした。
しかし、「今はこんにゃくパスタやふすまパンなど低糖質でおいしい代替品がいろいろ
ある。継続が難しいのはむしろカロリー計算が必要なカロリー制限食の方」と江部理事長。
提言では「日本人の病態と嗜好(しこう)性にふさわしい食事療法について継続的な検
討が必要」としている。同学会の門脇孝理事長は「提言は、食生活の好みによっては糖質
50%未満も許容するという従来の食事療法の規制緩和の意味もあった。
糖質を少なく取るときは、タンパク質が20%超なら腎機能が低下していないか注意し、
脂質が25%超の場合は不飽和脂肪酸を多く取るように心掛けてほしい」と話している。
【用語解説】糖質制限食
ご飯やパン、麺類、ジャガイモなど炭水化物(糖質)の多い食品を食べない、糖尿病
患者のための食事療法。
糖質制限食を紹介した『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』(東洋経済新報社)など
約30冊の江部理事長の著書は計100万部を売り上げた。
糖質だけを控えれば肉や魚は制限なく食べてもよく、カロリー計算のいらない手軽さ
から糖尿病患者だけでなく、ダイエットしたい人にも人気となっている。
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/130413/ecb1304131305000-n1.htm
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